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「うれしい」も「かなしい」も全部ききたいから。 (R18)

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分別~隣人のあいだの小話。オフ再録。管理人サスケの試験前夜のお話。

holiday

隣人~Golden!!!!!のあいだの小話。オフ再録。ようやくの初デート話。

evergreen 1

――今いるこの世界は本当に、本物の『現実』なのだろうか。
小さい頃、眠る間際にふと湧いて出たそんな疑問に、おかしなほど取り憑かれた時期が…

evergreen 2

「なあ、どうすんだコレ?これから何があるんだ?」 先に行ってて、オレってばこいつらの親御さんとこに連絡入れとかなきゃなんねえから、というナルトに訝しみつつも、盛り上がる子供達に引っぱられ連れてこられたのは教室と同じ敷地内…

evergreen 3

思い出すのは、真暗な空。 星の無い夜の下、動かない体で仰向けになっていると、だんだんと天も地も無くなって全部が真っ黒に塗りつぶされてしまうような気がした。谷を抜ける風が、ごうと鳴る。滝の音が遠く近くなり、一度散り散りにな…

evergreen 4

なんの因果か、サスケは昔から「育ちが良さそう」と言われる事が多い。 決して多くはないけれど高校などで話し掛けてくる輩で遠慮のない奴などは、もっと有り体に「いいとこの坊ちゃんぽい」と言ってくる場合もある。 なので、実際の所…

evergreen 5

人で賑わう商店街を抜けて河沿いのアスファルトを踏んで行くと、最初に見えるのがその朱塗りの鳥居だ。 低い住宅街の中でにょきりと突き出したそれは、震災や空襲からも奇跡的に免れたもので、聞けば江戸の頃からもう三百年近くもここい…

Strawberry on the Shortcake 1

指定された時間よりもかなり早くに訪れたそのコンビニは、深々と冷えていく夜の街の中、くっきりとした明るさで建っていた。たっぷり巻いたマフラーに顎を埋め、自動ドアの前に立つ。扉が開くと同時に、中からは気の早いクリスマスソング…

Strawberry on the Shortcake 2

タクシーから降りて眺めるプラタナスの並木通りは、この数日ですっかり馴染んだ道となった。 はらはらと渇いて落ちる、広げた手のひらのような大きな葉を靴先で散らす。 なんとなく横付けするのが後ろめたくて、店の建つ大通りの端で車…

Strawberry on the Shortcake 3

大企業『うちは製鐵』が破綻するきっかけになったのは、古くから親交の深かった同郷の会社が不況の最中、他企業に買収されそうになったところを救うべく、手を差し伸べた事が端を発しているのだという。 「ホワイトナイトを買って出たの…

Strawberry on the Shortcake 4

言い訳のように聞こえるかもしれないが、オレとて最初からここに来ようとしていたワケではないのだ。自宅マンションの周りには三軒ものコンビニが看板を掲げていて、その全てが歩いて行ける範囲内にあった。その中には、ヤツのいるあの店…

Strawberry on the Shortcake 5

「――行くぞ」 掛けられた不機嫌そうな声に、オレは寄りかかっていた店の壁から身を起こした。午前4時、真冬の夜はまだまだ暗い。身を起こした瞬間に出された少し深い息が、白く煙って闇に溶けた。裏口から入ってきた店長と入れ替わり…

Strawberry on the Shortcake 6

早朝のダイニングルームにいるオレの存在は、二階から降りてきた彼等を相当驚かせたらしかった。 特にそれが顕著だったのが、短髪の方の人だ。黒々と大きく見張られた瞳は文字通り完全にまばたきを忘れ、閉じられないらしい唇はアワアワ…