≪Round 1≫

到着してみるとそれは思っていたよりも高級そうなダイニングバーで、散々迷った末仕事用ではあるが一応手持ちの中では一番小洒落ていると思われるスーツを選んできたオレは、開いたドアを後ろ手で閉じつつ密かに安堵していた。明るいけれ…

≪Round 2≫

なんでオレがそんな事。アッサリ下された結論に、オレは即座にそう思った。だってナルトだぞ?あのナルトだぞ?あいつから言われて付き合うのは考えていたが、逆はこの12年間想像した事さえなかった。オレの事を好きで好きで堪らないあ…

≪解散!―interval-≫

派手な一本締めの余韻もそのままに表に出ると、ちらついていた雪は早くも止んでいて、代わりに切れ切れとなった雲の合間から明るい夜空が顔を覗かせ始めていた。ストールやマフラーで包まれている顔は、どれも皆楽しげに赤い。わあ、やっ…

≪Round 3≫

返されたメールにあった宿は同窓会の会場から程好く離れた場所にあるシティホテルで、経営元が空港会社ゆえか、宿泊している客層もどうやら外国からの客人が多いようだった。落ち着いたクラシック音楽が流れる一階ラウンジでは、そんな人…

≪Round 4≫

「……ナ、ナルト……?」笑顔から伝わる異変に、オレの舌はもつれた。ゆっくりと近付いてくる体が大きい。表情や声色は穏やかなままだけれど、先程までと比べ漂っているものが明らかに違った。伝わってくるのは切迫した、威圧とでもいう…

≪The Final Round≫

「――で、さァ! まあやっぱそうなってくりゃオレも我慢出来ねえじゃん? たまらずカーシート倒して、そのぴらぴらのスカートを捲り上げたワケよ!」忘れもしない、十七歳の夏。あの頃けばけばしい音楽に合わせ語られるのは、大概が下…