by my side

オマエのクナイ捌きって、やっぱキレイだよな。 いい目の保養になったってばよ。 後ろからのんびりした様子で投げられた声に、たっぷり一日かけて埃を被ったサンダルをふと止めて振り返る。 歩く時の癖なのだろう、組んだ両手を後ろ頭…

say you love me

トッ・トッ・トッ・トッ・トッ! どこからともなく、小気味よい音と共に術式の書かれたクナイが飛ばされ地面に突き刺さる。 「っしゃ~~~いくぜ!!」 演習場の傍の木陰でナルトは1人気合を入れると、いつもより丁寧に印を結んだ。…

雪待人

もう何度目かもわからなくなった溜息をついて、ナルトは眼下に広がる里を眺めた。 暖房のない待機所は、冷たい外気を纏ったままの木の葉の忍達がひっきりなしに出入りするためか、外と変わらない程冷えている。 ぐるりと一面を囲ってい…

深更

なんだ、片付いてるじゃねえか。 やっと見つけた鍵で開けたドアの中を覗いて、サスケは小綺麗に整えられた部屋に意表を突かれた。ナルトの性格だったらきっと賑やかに散らかった部屋だろうと想像していたのに。そういえばここに入るのは…

鈍色

大量の書物を乗せた背負子の肩当ては、階段を上がる度に重さを増し容赦なく肩に食い込んでいくようだった。 目的地の最上段まであともう少し。さすがにあがってきた息を軽く整え、ナルトは肩紐をぐいと引き上げる。 昨夜の雪は、この山…

告白

きっと先に帰られてしまうのを危惧して走って来たのだろう。 息を整えながら近付いてきたナルトと視線を合わせないよう注意しながら、サスケは巻かれた包帯に目を落とした。今更ながら、サクラの企てにまんまとのせられた事を苦々しく思…