【Ⅰ】

遠くの空に、鐘が鳴る。耳を澄まし仰いだ先には、細く立ちのぼる煙が見えた…

【Ⅱ】

「――…さま、火影様!」控えめだけれど確かな声で、突然揺り起こされた。見慣れない部屋に一瞬、どこにいるのかわからなくなる。「ご用意ができましたが――もしやどこかお加減がすぐれませんか?」覗き込まれる顔にも、あまり見覚えが…

【Ⅲ】

――触れるのならば、『お前の』手で。抑えきれない興奮に、つい利き手である義手の方を伸ばしてしまう度、サスケは必ずそう言ってオレを制した。ずらした下穿きから覗く、黒々とした茂み。触れたときにはもう芯を持ち始めていた性器は、…

【Ⅳ】

「……について、……が…………という報告を」「いや、……が……しても、きっと…………なら」 気がつけば、会議室の中にいた。あの日から、ずっとこうだ。動きと動きの間が、全然繋がらない。頭が時々、完全に止まってしまうようだっ…

【Ⅴ】

「……へ?」考えてもみなかったその言葉に、思わず目が大きくなった。え、うそ。なにお前そんな事してくれんの? ドギマギ確かめるオレに、黒髪の頭がかすかに頷く。「まあな。ちゃんとお前がやるべき事を、果たしたら」あんまりにもオ…

【Ⅵ】

久しぶりに来た温室は、変わらぬ佇まいでそこに在った。日が落ちてからのそこは、静かで冷たい。今が真冬であるならば尚更だ。備え付けられた明かりをつければ、闇の中でぽっかりとその姿は際立っているはずだった。今はもう、ここに目眩…