終わりたくない物語

リアルでない彼等によるリアルな物語が読んでみたくて、妄想し始めていたらついついこんな長いお話が出来上がってしまいました。
だって忍術が使えなくても瞳術が使えなくても、彼等はみんな、本当に物凄く魅力的で。
結局のところ、サスケは自分が納得できなければいくら熱烈に迫られようと他人に押し切られるような子じゃないし、ナルトは自分からグイグイいかずともちゃんと愛されるだけの素敵なところを一杯持った子だというのが言いたかっただけで。
……そんな誰もが「知ってるよ!」な事をわざわざ言いたいがためだけに、こんなに長々書いてしまいました。あの、ほんと、すいません……完全に自己満足のためだけのお話だと言い切れます(汗)
でも書いていて本当に楽しかったです。

それにしてもまあ、よくぞこんな稚拙ながらも長いお話を書けたもんだと我ながら呆れています。
冒険は常に日常に潜んでいるものだと思って生きているので、ストーリーも展開が多い割にはやってる事はわりと地味だったりしますし。よく考えたら辻褄の合わないとことかも、ボロボロあります(お前らのアパートは一体どういう構造してるのだとかね……)。大真面目なラブコメディを目指したので、かなり恥ずかしい感じにもなっているのですが、まあ恋なんてそもそも真面目に書けば書くほど恥ずかしいに決まってるので、これは仕方がない……作中ナルトがお人好しなロマンチスト過ぎだったり、サスケが酷かったり兄さんだったり迷走したりしてますが、まあ本編でもだいたいそういう感じじゃなかろうかと思ってます(ご、ごめんなさい)。
でも自分の感情にまっしぐらで素直な好青年のナルトと、おそろしく解りにくいけれど本当は誰よりも熱くて深い愛情を持っているサスケも書けたかなとちょっぴりですが思えているので、とりあえずは満足かなと。ちゃんと伝わってたら、すごく嬉しいです。

とんでもなく遠回りなハッピーエンドとなりましたが、これはこの二人が「この先」を一緒に生きるためには、必要不可欠な回り道だったと思っていただければありがたいです。
というか、NARUTOってつまるところ果てしなく遠回りな両思いの子達の話だと思っているので、まあなるべくしてなったのかなという。今現在、ちょうど本誌の方がえらいことになってるので、ちょちょちょっと……ねえ!?ちゃんと最後くっつけてね!!?と岸本先生に泣き付きたい気分でもあるのですが、でもやっぱり山アリ谷アリ殺し合いアリを乗り越えてこそのナルサスなので。
うう、本当に早く幸せになってくれぃ……!と切に願うばかりです。

こんなに長々書いたくせに入れられなかったエピソードも沢山あって、それだけがちょっと残念です。
サスケが教習所に行って、マダムオロチーに気に入られて三日で辞めてくる話とか。ナルトと長門が必死こいて酔いつぶれた自来也をすすきのから担いで帰ってくる話とか。フガクさんが老眼鏡買いに行く話とか。カカシ先生がスポーツジムに通う決意を固める話とか。新しい住人の貧乏絵師デイダラがサスケに一目惚れして絵を描かせて欲しいと迫って、それを後で聞いたナルトが嫉妬する話とか。燃えるサ○ワ急便・リー青年の、テンテンとネジの間を取り持つ配達日誌とか。
……あ、あれ?なんか本当にしょうもないエピソードばかりだな……まあいいか。
とにかく彼等はみんな、勝手に今も生きています。多分、どこかで。

なんにせよ、連載中こんなひたすら自己満足する為だけの現代パロディに同乗してくださる方がたくさんいらっしゃった事が、なによりありがたく、本当に嬉しかったです。
持っているものは多くはないのですが、丁寧に書くことはできるかと思いましたので、せめてそこだけは手を抜かずに物語を紡いだつもりです。すべての登場人物に愛を込め、幸せを祈りつつ書いたという事だけは自負しております。
もしもこのお話が命を持てているようでしたら、やはりそれはNARUT0という素晴らしい作品の素晴らしいキャラクター達の力かと!うん……やっぱすごい作品です。本当に出会えてよかったとしみじみ思います。
でもってナルサスって素晴らしい!とちょっとでも思っていただけましたら、書き手としてファンとして本望です。こんないとおしいカップルいないですよ、ほんと……

どうかこのお話が、読まれた方の中に、やさしい何かを落とせていますよう。
そんな大それた祈りを捧げつつ、ここを閉じさせていただきます。
この壮大に遠回りなラブストーリーにお付き合いくださった皆様に、心からの感謝を。
ありがとうございました。



2014/02/20  大雪の後の、冬晴れの日に
作者 拝