第一話
むかしむかし。 木の葉茂る山、沢を登り崖を乗り越えまだいったその奥に、ナルトという親のない、一匹の狐がおりました。 ふさふさした尻尾は秋の稲穂のような黄金色、つんと尖った耳を持つ狐です。 その狐は親はなくともたいそう元気…
大正NS/お狐ナルト×少年サスケ(連載中)
** ご注意 **
このお話は「ねぎとみそ」のいきち様の描かれた「狐の窓」というイラストを元に、私管理人が畏れ多くも好き勝手に妄想を膨らませ作り上げたお話です。
まずは大事な作品を小説化する事をお許しくださったいきち様に感謝を。
素敵な絵の掲載も許可いただけたので、作中に差し込ませていただきました。
いきち様の作品世界に色をつけてしまう事に緊張しつつ、文章を付けさせていただけたこと、大変光栄に思っています。
この場を借りまして改めて御礼申し上げます。
またこちらの作品では作中、サスケがこころに病を抱えたキャラクターとして登場します。
ご不快に思われる方はどうか回れ右で。
閲覧はご自身の判断で決めていただくようお願い致します。
(過去の別背景での仕様は、旧サイトのみになります)
むかしむかし。 木の葉茂る山、沢を登り崖を乗り越えまだいったその奥に、ナルトという親のない、一匹の狐がおりました。 ふさふさした尻尾は秋の稲穂のような黄金色、つんと尖った耳を持つ狐です。 その狐は親はなくともたいそう元気…
――― お い で 。 まさしく時が止まったようだった。ゆっくりと、緋の唇が動く。そうして差し伸ばされてきた白い手は、その表面のなめらかさから細らんだ爪先の丸みに至るまで、やはり全てが作り物じみた完璧さだった。危うさを感…
ぐう。組んだ手のひらの下で、腹の虫が鳴いた。ぐぅ、きゅう。言い足りないとでもいうかのように、切なげな訴えはまだ続く。長く仰向けになったまま見上げた壕の天井に、その声は甲斐なく染み込んだ。 「――…っとに、お前ら元気だなあ…
「……た、頼み?」 聞き返したナルトは、言いながらもすでにその言葉に呑まれかけているのを感じた。訊き返しに眼差しが頷くように細くなる。出会った時、彼が言おうとしていたのはこれだろうか。 「頼みって、その――なんだってばよ…
「いこう」なんて言われつつも、話はそう簡単ではないだろうなというのは予想していた。 「駄目です。飼えません」 どうやら住まいまで同じくしているらしい、先日通りすがった老紳士に後見人と説明された例の男は現れた金髪に一度はぎ…