なにしろ長い事患っていた初恋だったし、ダメだったとしてもそっかじゃあもう二度と目の前には現れませんからスンマセンでしたで済ませられる程手前勝手が利く身分でも無かったから、想いを告げようにも相当な熟考と配慮が必要だった。
その「熟考」と「配慮」の果てが酔った勢いでの告白だというのは我ながらあまりのチキンっぷりに泣けてくるところではあるけれど、でもあっちはあっちで同じような考えの中で行き詰っていたようだからこれはもう不問に処してもいいんじゃないかと思う。
任務帰り、閉店間際の居酒屋、手酌同士での打ち上げ。「つきあって」と告げたら「わかった」という怒ったような声が返ってきて、あんまりにもあっさり返ってきたOKに「…修行とか果し合いとかの事じゃないってばよ?」とつい確かめたら「くだらない確認してくんなボケ」というにべもない保証が付いてきた。
それでもまだ信じきれなくて肘を付いてうつむいたままの影を覗き込んだら、とんでもなく顔を赤らめたサスケがいて。
火照る頬にこわごわ指で触れると、流れた髪の内側から潤んだ目が見上げてきた。ぐぁぁなんだこれクソかわい…ッ!!と一気に舞い上がって気がついた時はもうアイツの部屋のベッドの上で、すっかり有頂天になったオレは恥もプライドもかなぐり捨てて、積年の思いの全てをその初恋の君に余すとこなく捧げていた。
* * *
この件に関しては今後一切の例外を認める事なく他言無用を徹底すべし。
さわやかな小鳥たちのさえずりの響く中、乱れに乱れたベッドから先に起き上がったアイツは、差し込む朝日を背にきっぱりと宣言した。寝起きの肌がつやめいて光って見える。頭は普段にも増して一段と跳ねまくっているけれど、これの原因の半分は昨夜彼の身の内にある熱に翻弄されたオレが、迸る感情のまま指で掻き乱したせいだ。そう思えば、その野放図な頭さえもいとおしい。
「……たごんむよう」
「そうだ」
「……ええと、それはつまり、どういう……?」
「誰にも言うな、知られるなって意味だ」
異論は?と尋ねてきた声に、ちょっと考えてからオレはふるふると首を横に振った。まあ、そうだろな。サスケだったら多分そう言うだろうと思った。
忍の間では「オトコドウシ」はそんなに珍しくもないけれど、かといってあたり構わず大音量で宣伝出来るほど開き直った態度を取れるような事でもなかった。
そうでなくとも、オレとサスケだ。
大戦であれだけ目立ってしまった上、ガキの頃から追うわ追われるわ体に風穴開け合うわ同時に死にかけるわで、周りを巻き込んでの騒動を散々引き起こし続けてきたオレらがこういう関係になったなどと知られたら、ちょっとしたニュースになる事はまず間違いないだろう。それも多分、木の葉の中だけでは済むまい。オレとしてはそこまで気にならないけど、秘密主義傾向の強いサスケからしたら、おおっぴらに交際宣言するなんてとんでもないといったところだろう。
「あ、でもカカシ先生とかサクラちゃんくらいには」
「一切の、と言っている」
「……じゃ、サイも?」
「考えるまでもねえだろが。いいから外では出来るだけ近付くな。甘えた態度も禁止だからな」
みなまで言う前にバッサリ切り捨てられると、早くも胸中にはもやもやとした不満じみたものがとぐろを巻き始めてきた。
てことはアレか。七班での任務中にもイチャイチャしたり出来ないって事か。
新鮮な朝の光の中、上体を起き上がらせたままこちらを見下ろすサスケが視界に映った。いつもよりも唇が赤いのは昨日オレが吸い過ぎたせいだろうか。すっかり普段通りに戻った理性に満ちたその眼に、昨夜の滲んだまなじりが重なる。
――とにかく表向きは今まで通り、『ただの同僚』を貫くぞ。
そう言ってベッドから抜け出そうとしたその腕を、はっしと掴んで引き留めた。
「……なんだこの手は」
「えっと…シよ?」
「はァ?何言ってる」
「だって外出たらもうこういう事しちゃダメなんだろ?最後に、お願い」
口調だけは低姿勢だけれども確かな強引さでもって掴んだ腕を引き寄せ、回した腕でその白い体を閉じ込めると、寝起きの温まった匂いに混じって青臭い情事の残り香を感じた。見下ろす鎖骨に、昨夜の彼に夢中になったオレの痕跡が、点々と印されている。
「…あのな、知ってるか?」
おねだりの要領でじっとその目を離さず見詰めていたオレに、おもむろにサスケが言った。
「なんだってばよ?」と意識して低めの声で答えてそっと耳たぶにキスしてみるも、再び覗き込んだその表情にはまったく揺さぶられた様子がない。
「実はな、どっかの加減を知らない馬鹿のせいで、オレは今体が痛ぇんだ。どこの誰とは言わねえが」
「うっ、そりゃその………すんません」
「だいたいがオレもお前も今日任務だろ」
「……そうでした」
じゃあせめてこれだけ、と憮然とする腕の中の恋人に顔を寄せると、サスケが(しょうがねぇな)といったような眇めた目をした。はむ、と咥えるようにして重ねた唇で、出来るだけ濃厚なキスをする。熱くぬめる舌を吸い上げるとかすかに鼻が甘く鳴らされて、その悪くない反応にいい気になりながら、ああやっぱしたいな、サスケその気になってくんないかなという邪念だらけの口吸いを繰り返した。そのうちに「…ん、」とかすかに色付いた吐息が漏らされたのを、抜かり無く耳が拾う。しめしめとほくそ笑みそうになる頬を抑えながら素知らぬ顔でキスを続け、背中に回していた手をそろりと下に向かわせたようとしたの、だが。
「…いだだだだ!!」
なんとなくを装って実際は的確な目的を持った不埒な指先は、伏せられた長いまつげにあっという間に勘付かれると、駆けつけた白い手にガッチリと捕獲された。上忍にあるまじきあっけなさで手首をひねりあげられてしまい、思わず飛び出た悲鳴に、赤い唇を唾液で光らせたサスケがうすく笑う。
「――だから、しねえって」
思わず見蕩れたオレの額をぺしん!と気持ちよくひとつ叩くと、サスケは素っ裸のままさっさとシャワーを浴びに行ってしまった。出て行く背中の筋に沿って散らされた赤い花びらが、すんなりとした足が前に出るたび扇情的に連なって揺らめく。
うわー…背中、色っペえ。
跡、いっぱい付けちゃったな。
でもサスケ、怒んなかったな。見えないとこだからかな。首に付けようとした時は嫌がったもんな。
……シャワールームに消えていく後ろ姿に、そんなこれまでの関係では知り得なかったアイツの情報を反芻しながら、額と頬をちょっと赤くしていたのがちょっと前の話。
(……つって、なんでオレってば秘密にするなんてのに同意しちゃったんだろ……)
今日も今日とて消化できない欲求に、オレは実に見事にハマっていた。座ったベンチでふかぶかとついた溜息が、朝の待機所のざわめきの中に紛れ込む。
一緒に現れると変に勘ぐられるかもしれないから、という理由でご丁寧にも時間差を作って出勤した朝から2週間。修行の甲斐あってお互い売れっ子上忍となったせいでオレ達はそれぞれ忙しく、ゆっくり二人きりで会える時間こそなかったが、それでも時折待機所でその凛とした立ち姿を見掛ける事はあって。嬉しくなって近付こうとすると切れ長の黒が途端に制止するように尖るから、オレは結果的にはサスケから言い渡された接近禁止令を遵守する形になっていた。なんというか、さすがサスケといった感じだ。常にとことん完璧を目指している。
(……ていうかさ、そんなにまでして、秘密にする意味あんのかな?)
幾度となく浮上してくる疑問に、また揺さぶられた。考えてみたら、そもそも大戦中にオレの思いは大々的に忍界全体に放映されてしまったのだから、オレサイドとしてはもう今更なのだ。そりゃあこれが恋だなんて事に気が付いたのは戦争が終結してからだし、サスケの方に至っては一体いつからオレの事を好きだったのかもわからないけれど、でも好きな奴に堂々と愛情表現するのになんで人目を憚る必要があるのか。
(だって、さあ……)
ポケットに突っ込んだ手のひらを、中でモゾモゾと何度も握り直した。
言いたいじゃんか、オレの恋人がどれほどスバラシイか。
自慢したいじゃんか、あのとんでもなく高飛車で気の強いお姫様が、二人きりでいる時だけはちょっとだけ甘い顔してくれるんだぜって。
誇りたいじゃんか、ずっとずっと憧れてきた背中が、オレを選んでくれたんだって事。
威張りたいじゃんか、アイツを追っかけ続けてきたオレは、やっぱり間違ってなかったってのを。
……そういうの、言いふらしたいと思うのはオレの方だけなんだろうか。サスケはそんな風に思ったりしないのかな。まあ多分そうだから、こんな箝口令が敷かれてるんだろうけど。
「ううう、でも言いたいんだよなぁ……」
「なにを?」
つい漏れた独り言に、耳に馴染んだソプラノが訝しむように声を挟んできた。ようやく気配に気が付いて隣りを見れば、賢さをたたえたグリーンアイが、細く怪しんでいる。
「…わあー、サクラちゃん気配消すの完璧だってばよ…」
「気配なんて消してないわよ、あんたが上の空だっただけで」
「えっ…そ、そう?」
ぼやっとしてると燃やされるわよ、今日の隊長は厳しいから。
言われた言葉に、モヤついていた気分が一瞬で晴れた。そうだ、今日はちょっとお久しぶりの元祖七班での任務なのだった。
カカシ先生はもとより、他の班とのパワーバランスの関係でこの頃は三人がバラバラになって任務に就くことが多いけれど、たまにはこうしてまた七班で集められる事もある。そういう時の依頼ってのは大概ちょっと難しくて厄介なS級任務だったりするのだけれど、里がわざわざオレらを選んでそういうのを任せてくれるっていう事実は、いつだって素直に嬉しかった。
それに七班でってことは、今日は堂々とサスケと喋っててもいいってことだ。もしかしてどさくさに紛れれば、ちょっとくらいのおさわりもOKかもしれない。でもって明日は待ちに待ったふたり揃ってのオフ日。この前のお泊りの後、勤務表を穴が空く程確認したから間違いない。これはもう任務終了と同時に恋人モードに突入、そのままどっちかの家(といいつつ多分サスケの家なんだけど、あっちの方が広くてキレイだし)でまったりイチャイチャコースで間違いないだろう。
些細な不満はひとまず置いておこう。
素晴らしき労働の後には、薔薇色の夜が待っている。
「おお…俄然ガマン出来る気がしてきたってば」
「は?」
「いやいや、こっちの話」
「そういえばさっきの『言いたい』ってなんだったの?なんか内緒の話?」
なぁに、このあたしにも言えないような事なの?
ちょっと上からな口調で言いながら、サクラちゃんがきょろりとこちらを見上げてきた。ようやく背中に届くところまできた薄紅の髪が、つやつやと肩を滑る。中忍試験の時からずっと髪を肩上の位置でキープしていたサクラちゃんだけれど、去年位から再び髪を伸ばしだした。短いのもすごく似合ってたけど、サクラちゃんはロングになってもやっぱり可愛い。どうしてまた伸ばすようになったの?と以前聞いてみたら、謎めいた微笑みにかわされてしまったから、また伸ばすようになったきっかけは聞き出せず終いなのだけれど。
(……それにしても)
ぷるんと色付いた唇を見下ろしながら、なんでかなあと不思議になる。昔はこの女の子への思いが初恋だと思い込んでいた時もあったのに。でもサスケに対するような、どうしても誰にも渡したくないという独占欲は、何度考えても彼女には湧いてこなかった。幸せには、絶対になってもらいたいけれど。でもそれは、オレの手でなきゃ嫌だというわけでもなくて。
(サクラちゃん、こんなに可愛いのになあ)
さらりと流れる髪に、また思う。ほっぺもふわんふわんだし、目もくりっとあいらしいし。
華奢な腰とか細い手首とか、抱きしめたらきっと脆くて柔らかくて(いや実際はそんな甘いばかりの女の子なんかじゃないって知ってるけど、それは今は考えない事にする)たまんないんだろうな。
なのにどうしてオレはこの素敵な女の子よりも、あのおっかない男を抱きしめたいんだろう。
やわらかい翡翠色の視線に包まれるのではなく、怜悧な闇色のまなざしに突き刺されたい。
「…サクラちゃん」
「ん?」
「サクラちゃんてスゲーカワイイ」
「…ありがと」
「オレってばやっぱどっか狂ってんのかな」
「はぁ?」
「おかしいよな、別にオレ痛いのがスキとかってわけでもないのに」
「――やっぱりあんた絶対なんかあったでしょ?」
「ほっとけサクラ、こいつがどっかおかしいのは今に始まったことじゃねえよ」
妙な会話の横から入ってきた無愛想な声に、オレは弾かれたかのように腕を下ろしそちらを見た。
腕組みに渋い顔を乗せたサスケが、まさしく今にも刺し殺すといった目でオレを睨んでいる。
「サスケェ!」と条件反射のようにあげた声は知らず華やいだものになった。待ってましたという喜びに体がむずむずと動き出す。飛びつくのはなんとか自制できたけれど、どうにも顔が蕩けるのは抑えようがない。
そんなオレを華麗にスルーして、サスケは片手に丸めて持っていた書類をサクラちゃんに手渡した。
「サクラ、これ今回の任務の詳細。目ェ通しといてくれ」
「わかった。隊長はサスケくんでいいのよね?」
「ああ、出立は5分後に。それと……おい、そこのドベ。ちょっとこっち来い」
居丈高な態度で顎をしゃくると、サスケはオレの反応を見届けないままにさっさと待機所を出て行った。呼ばれた犬さながらにホイホイと足並み軽く付いて行くオレを、受け取った書類を捲っていたサクラちゃんがちょっと怪しんだ目付きで見送る。
連れ込まれた先は男子トイレだった。他に誰の気配も無いのを察すると思わず妙な期待が高まって、立ち止まった背中に抱きつきたい誘惑にウズウズする。しかしくるりと振り返ったサスケの容赦ない雰囲気に気が付くと、さすがのオレも伸ばしかけた腕を寸前で止めた。…あれ?なんだろうなこれ。お付き合いしたてほやほやの恋人の視線にしては、ちょっと厳しすぎるような。
「えーと、…サスケ?」
「お前、こないだオレが言った事忘れてねェだろうな」
「もちろんだってば」
誰にも言ってないし、バラしてねえよ。
正々堂々言い切って、オレはどんと胸を張った。あの初めての朝以来、外ではサスケに対してノータッチを貫いているし、誰にもサスケと付き合うようになったなんて言っていない。
しかしそれに対して返ってきた視線は冷たいものだった。胡散臭そうに目を細め、「どうだかな」と鼻を鳴らしたサスケが言い捨てる。
「会った途端そんな伸びきったゴム紐みたいな締りのない顔しやがって。今日はサクラもいるんだぞ。それじゃ言わなくても何かあったのが丸分かりだろうが」
事実かもしれないけれどあんまりな言い様にちょっとムッときたけれど、それでも久しぶりのふたりきりでの会話の喜びの方が優っていた。言われた言葉は適当にうっちゃって、溢れ出る思いのままに相好を崩す。
「しょーがないじゃん、嬉しいんだもん」
「…っ、だからそういう事をあっさり言うな!今まで通りにしろ」
「え~?今まで通りってどんなんだっけ?」
「てめ…いい加減にしろよ」
額を抑えるサスケを前に一応うんうん唸ってみたが、冗談ではなく本気で以前までのオレが一体どんな風に彼に接していたのか、さっぱり思い出せなかった。代わりに浮かぶのは、シーツに散った黒髪や、濡れた瞳や、ため息の零れる赤い唇だ。ちょっと手を伸ばせばすぐにそれに触れられるんだと気が付くと、あっけなく熱が集まり始めるのを感じた。ああなんて即物的なオレ、ご都合主義の記憶力。確かに大昔のオレはコイツの事が嫌いで嫌いで地団駄踏む位大嫌いだった筈なんだけど、それが「好き」の裏返しだって気がついちゃったんだから、もうどうしようもない。しかもその「好き」をコイツが受け入れてくれるのだと知れば、わざわざ昔のようになんて出来る訳ないじゃないか。
「っていうかさ、もういいじゃん。バラしちゃえば」
つるっと出た本音を伝えると、頭痛を堪えるような顔をしていたサスケの目が大きく見開かれた。
はあ?冗談だろ、という咄嗟の返答があまりにも嫌そうで、さすがのオレもちょっと勘に障る。
「ふざけんなよ、オレは絶対そんなの嫌だからな」
「だってさ、やっぱ無理だって、永久に隠し通すのなんて」
「簡単に開き直んじゃねえ」
「…なんでそんなにイヤなわけ?オレと付き合ってんのは、そんなに恥ずかしい事なのかよ」
「恥ずかしいに決まってんだろ」
いいからその緩みきった顔をなんとか締め直せ。隊長命令だからな。
ぺしん!と最後に叩かれたのは額ではなく、浮かれた気分に水を差されちょっと放心状態になりかけていた頭だった。はたかれた勢いで横を向かされると、うすっぺらな蛍光灯に照らされた視界に男子トイレの鏡が入り込む。端っこに錆の浮き出たそれに映っていたのは、一人相撲の果て土俵から突き落とされた男の間抜け面だった。それを睥睨するかのような冷めた横顔がこれまた整っていて、その対比に呆然とする。
なんだよそれ…ちょっと酷すぎんじゃねえの?
こちらに気遣う様子もないまま、先に出て行くとりつくしまもない背中。一切の言い分も聞こうとしないその姿勢を見送っているうちに、オレの中にはフツフツとしか怒りが込み上げてきた。
オレと付き合ってんのが、恥ずかしいって?
つい先程までしていた会話を改めて脳内で再現してみると、思った以上にその言葉に自分が傷ついている事に気が付いた。なんだよ。これじゃまるでオレだけが好きで、サスケからしたらこの関係が不本意なものみたいじゃないか。そりゃあさ、アイツはいつだって高嶺の花でずうっと手が届かなくて、憧れて憧れてようやく折れてくれたお姫様だ。だけどだからって、手折られた事を『恥ずかしい』だなんて言わなくてもいいじゃないか。
……オレはサスケがオレを選んでくれた事が、こんなにも嬉しくて自慢したくて堪らないのに。
「…あ、やっと戻ってきた」
やにさがっていた表面を憮然顔で塗り替えて、ちょっと足音を荒げさせながら待機所に戻ると、近付く前からオレの姿を見つけたサクラちゃんが、隣に立つライダースジャケットの裾を促すように引っ張った。いつ来たのだろう、パサパサの髪を短く刈り込んだ頭が振り返る。同じくすっかり忙しい身の上になった割には、未だにどこかガキ大将じみた小僧っぽさを残す日焼け顔。キバだ。
「ナルト、キバくんがあんたに用だって。さっきから待ってたのよ」
「よっ!長ぇションベンだなぁうずまき上忍。隊長サマがご立腹だぜ?」
気楽に言われた台詞にサクラちゃんの横を見ると、先にトイレから出て行ったサスケはまっすぐここに戻ってきたらしく、オレを揶揄するようなキバの発言にも素知らぬ顔してベンチに座っていた。乱れた様子のないその佇まいが、なんだか無性に腹立たしい。つーか別に本当に用を足しに行ってた訳じゃねえし。トイレに連れ出したのはオマエだろ、なんかフォローっぽい事言い添えるとかしろよ。
「……なに?なんか用?」
ぶすっとしたまま突っけんどんに尋ねると、それを気にした様子もなくキバは「なんだよ、機嫌ワリィのな。折角イイ話持ってきてやったのによー」とニヤニヤした。「イイ話?」と首を傾げると、一瞬だけサクラちゃんの方を気にしてから、内緒話を誤魔化すかのようにキバがゆったりと肩を組んでくる。
「オマエさ、今日の帰還何時頃?」
「は?なんで?」
「合コン行かね?今夜」
「合コン~?」
つい大きくなってしまったオレの声に、座ったまま聞いていたサクラちゃんが「なぁんだ、用ってそんな事?」と呆れたように言った。同期とはいえ女性の前ではさすがにちょっとバツが悪いのだろう、あっさりバレてしまった秘密のお誘いに、苦笑いを浮かべてキバが頭を掻いている。
相変わらず、サスケは微動だにしない。
「バカ!大きな声出すなって。オマエ来たらそれで丁度あっちの女の子と数合うんだよ」
「えー…いや、でもオレってば今夜はさ」
「なんだ用でもあんのかよ。おめーまさか、自分だけ彼女でも出来たとか言うんじゃねえだろな」
言われた言葉に小さく心臓を跳ねさせられて、オレはチラリとベンチに座ったままの恋人を盗み見た。
泰然と組まれた足も、重ねられた腕も、指先ひとつ動かされた気配は無い。
ぴくりともしない白磁の頬を見るに付け、オレはなんだか本格的にそのすまし顔をぶち壊してやりたい衝動に駆られ出した。なんだくそ、いつもいつもオレばっかオマエに振り回されてさ。バカだのドベだの好きなように呼びやがって、オレにはなあ、うずまきナルト様っちゅー立派な名前があンだぞコラ。そんでもって今やオマエの彼氏様でもあるんだ、惚れた弱みでいつまでもへーこらオマエの言うことにばっか従ってると思ったら大間違いだっての!
「――できたってば」
ぽつ、と無表情の声色で答えると、肩を組んだまま頬が当たるんじゃないかという位近い距離にあったキバの顔がぐりんとこっちを見直した。「は?なんだって?」と聞き直してくるキバに、「だから…できたんだよ、好きな人が。付き合ってんの、今そいつと」とハッキリ言う。
「明日オフだし今夜はそいつといたいから、オレは行かねえよ。ワリィなキバ」
「マジかよ…聞いてねえぞ!」
「そりゃそうだ、誰にも言ってねえもん」
そいつ、オレと付き合ってんの人に知られると恥ずかしいから、秘密にして欲しいんだってさ。
へらっと皮肉で口の端を釣り上げてそう告げると、ようやくその頑なな意思を宿す柳眉が、ぴくんとわずかに動かされた。半分伏せられていた長い睫毛が、めんどくさそうに持ち上がる。
一瞬だけかち合った視線同士は、間違いなく不穏な気配を纏っていた。釘を挿すように漆黒の瞳が細められる。あーはいはい、余計な事言うなって言いたいんだろ?わかってますよォ、だからオマエの名前は一文字だって入れてねえだろが。
でもいいじゃねえか、恋人が出来たこと位は言ったって。大の男が、この程度の事でいちいち目ェとんがらせてんじゃねえよ。
「クソッ、そうかそれでオマエここんとこ妙に機嫌良かったんだな」と悔しげにするキバに「へへーん、そういう事。いいだろ~」と不敵に笑いかけてから、「ま、そんなワケだから。他あたってくれってば」と余裕をもってオレは宣言した。事の成り行きを見守っているサクラちゃんだけが、ちょっとうんざりしたような頬杖をついている。
「そーか……んじゃ、サスケ。オマエ行かねえ?」
組んできていた肩を振り払うようにして外したキバはちょっと考えると、そこまで沈黙を守っていた麗人を振り返り、何の前触れも無く誘いかけた。今更だと悟ったのだろう、最早サクラちゃんに対する配慮はほとんど消えている。
「あ?」というサスケの不機嫌そうな声と、「は!?」というオレの転覆寸前の声がシンクロした。え?なんで?なんでそうなんの!?
「――待って!なんでそこでサスケ誘うんだってば!?」
「なんでって…オマエ行けねェんだろ?合コンなんだから、男女の人数合わなかったら向こうに悪いじゃねえか」
普段大々的に大雑把なくせにやけに繊細な気遣いをみせる同期に、くらりとした眩暈を感じた。
うおっ…コイツなんでそんなトコだけ妙に律儀なんだやっぱ姉ちゃん子だからか…!?
関係あるのかないのか微妙な事を思って泡を食っているうちに、ベンチの方から「…いいぞ」という呟きが聴こえてくる。――は?なんですと??
「おっ、マジで?やー助かるわ、これでオレの面目も潰れずに済む」
「そうか、よかったな」
「――イヤイヤイヤよくないでしょそれは!つかサスケ、本気で言ってんの!?」
開いた口が塞がらないオレを悠然と見上げると、冷めたままのサスケはしれっと「当然だ」と答えた。
合コンだぞ!?オマエそーゆーの絶対嫌いだろ!?
想定外の返答に、急上昇した焦りが頭のてっぺんから湯気を吹く。
「なんで行くの!?」
問いただすと、「だってオレにはわざわざ人に言いふらすような恋人いねえし」という冷たい返答が返ってきた。ぐわっ…ムッカつく…!!意趣返しのつもりかよコンニャロが!
「ちゅーかキバ!いいのかよこんな奴連れてって、女の子全部持ってかれちまうだろーが!」と思わず前のめりになると、なんでもない事のようにキバが「いや、それがさあ最近になって気が付いたんだけど、サスケって確かにモテっけど実際の彼氏にしたいタイプとはちょっと違うらしいんだわ。キャーキャー騒がれるけど誰も持ち帰ったりしねえし」などと罪のない顔で答えた。「…ああ、それはそうかも」と桃色の唇でポツリと零すサクラちゃんに、「サクラちゃん!?そこは納得しちゃダメだってばよ!」とつい叫ぶ。
味方だと思っていた紅一点にもケロリと裏切られて、オレは歯噛みしながらつんとしたままのサスケを見た。何考えてんだよコイツ…オレはなあ、オレは別に女の子と酒飲みに行ってどうこうって事がイヤだって言ってるワケじゃねえの。そんな器量のちっせえ事は言わねえってばよ男だし!そうじゃなくてだな、今夜そっちに行くって事は、オレが指折り数えて楽しみに待っていた甘い夜はどうするつもりだってのが気になっているワケで…!
「――ちょっと来い」
「…なんだよ」
「いいから、ちょっとこっち来いよ!」
今度はオレの方から引っ立てるようにして腕を掴むと、整った顔が心底不快だというように歪んだ。苛立つ足で外に連れ出してから話そうとするも、待機所を出る前に「痛ェだろが、離せ」と不愉快さに満ちた声と共に掴んだままだった手が振り払われる。
「オマッ…どーゆーつもりだってば!明日はオレもオマエもオフなんだぞ?!」
こちらの意向通りに動くのはまっぴらだと言わんばかりに立ち止まった男に、オレは仕方なくその場で声をひそめつつも精一杯の叱責を込めて睨みつけた。そんなオレを鼻先であしらうかのように「フン」とサスケが鼻を鳴らす。腕組みしながら横を向いたその顔に、ここのところ久しく見てなかった、ツンケンとしたスカシヤローの趣きが漂った。
「どういうつもりも何も、てめえがあそこで付き合ってる奴がいるなんて言うからだろうが。それもご丁寧に今夜そいつと過ごすからとか」
「だって本当のことじゃん!なんでサスケは隠すんだよ」
「馬鹿か、それでオレがお前と同じ事言ってみろ。変に勘ぐられんだろうが」
「そんなの考えすぎだっつーの!!」
「考えすぎで結構。忍者なら裏の裏まで想定するべきだ」
絶対違う、オマエただ単にオレに仕返ししたかっただけだろが…!
そう言ってやりたかったけど、ふいに前を向いてきたサスケの真っ直ぐなまなざしがあまりにキツいものだったから、オレはすんなり声が出せなくなった。
…ちくしょうなんでこいつこんな怒ってんのが似合うんだよ!綺麗過ぎて余計腹立たしいっての!
「ったくなんでお前はそう口の締まりが悪いんだ。閉じてらんねェ位なら、もういっそそこ縫っちまえ」
「なんだよそれ、サスケの方こそ神経質になりすぎだっての!」
「はあ?お前の感覚がザルなだけだろうが!」
「いいじゃんか恋人がいる事くらい言ったって!言いたいんだもんよ!」
「ふざけんな、オレが嫌だっつってんだ、いいから黙っとけよ!」
徐々に大きくなってきた言い合いがちょっと気になったけれど、遠慮なく投げつけられる雑言にかあっと血が熱くなった。怒りと悔しさでなんだか目がチカチカする。
くっそ、腹立つわーコイツ…!!!ちょっと惚れられてるからっていい気になりやがって!まあ確かに惚れてますけれども!――でもさァ!!
「なんだよ、じゃあオレもオマエみたいに断らなきゃよかったっての!?サスケはオレが合コン行ってもいいわけ?夜とかさ……一緒にいたく、ないのかってば?」
つっかかっていたものを吐き出すように、徐々に気弱になっていった言葉は、寄る辺もないままオレ達の間に漂った。「あァん?」とその細い眉を上げるサスケが目に入る。
本当はこんな事、言いたくないし訊きたくない。……だけど吹きだまったわだかまりに、言葉が口をついて出る。
「オレと付き合ってんのが恥ずかしいとかさ…オマエ本当に、オレの事ちゃんと好きなの?」
……言ってくそばからモロモロと崩れていくような言葉に、我ながら悲しくなってきた。
だってさ。なんか…なんかこれじゃオレ、片思いのままみたいじゃねえ?
そんな風に思いつつ、つい下を向いた目線の先では、サンダルから出る今朝まで浮かれていたつま先が、今やどうにも頼りなく映った。サスケはオレと会っても全然嬉しそうにしてくれないし。…これってば一体、前とどこが違うの?
変わりたいって思ったから告白したのに、現実には全然実感が伴っていない気がした。よく考えたらサスケからちゃんと好きだって言ってもらった事なんてねえし。やっぱアレなんだろうか、オレってばしつこさとど根性だけは定評あるから、サスケ的には単に断ると後々厄介だと思っただけだとか。一緒にいたくて仕方がないのは、オレだけなのかな。『そういう関係』じゃないと知り得ない情報が欲しくて堪らないのは、オレの方だけなのかな。
「――ンだと…てめえ、もういっぺん言ってみろ」
パチ、と微かに散った放電のような音に気が付いて視線を上げると、さっきとは比べ物にならない程の怒りに身を染めたサスケが、握った拳を震わせていた。怒りのひらめく瞳が、激情のせいでうすく潤んでいるように見える。
あ…あれ?サスケさん??
「じゃあ何か?てめえはこのオレが、不本意な相手とでも付き合うと思ってんのか」
「へ?」
「…ざっけんなよ、だったらあんな事許すわけねえだろが…!」
あんな事ってあのめくるめく夜にあったアレコレだろうかと思い返している間もなく、ぐわっと掴まれた胸ぐらに、周りで談笑していた奴らが一斉にギョッとしてこちらを見た。
瞬時に状況を見てとったのか、巻き添えは御免だとばかりに、その場にいる全員の足が一歩退く。
「だってさ、バレたくないってそればっかで…」
「当たり前だ!」
「だからそれなんでなんだよ、オレってば付き合ってんのを言いたいだけなのに」
「馬鹿か!そんな事したらオレとお前が好き合ってるみたいじゃねえか」
「…違うの!?」
「違わねえから恥ずかしいって言ってんだろうが、このウスラドベが!!」
…そっか違わないんだ良かったってばよォォ!!と喜んだのも束の間、ベストを掴む手のひらからチリチリと肌を刺す刺激が伝わってきた。あ…これヤバいやつだな。多分もう手加減ナシだな。黒焦げになるのを覚悟した時、盛大な舌打ちと共にその手がいきなり離される。掴まれた形で折れたベストの襟を見下ろしながら、いつもなら間違いなくとうに感電地獄に落とされているはずなのにと、これまでに無かった展開にぽかんとした。
苦虫を潰したような顔で、言いにくそうに口先を尖らせたサスケが、「…だから!」と小さく言う。
「いいからお前は、おとなしく家で待っとけよ…!合コンだかなんだか知らねえけど、適当なとこでオレも抜けっから」
――そしたらそのあと、お前ンとこ……行く、し。
絶え入りそうな声で呟きながら次第に恥じてうつむいていく、その顔が赤かった。
…あ、なんだ、そっか。怒ったような無愛想は、これを隠したかっただけなんだ。ようやく気が付いてしまえば、湧き上がるいとしさで身が焦がれる。
やべえ、かわいい……かわいいよもぅ!!どうにもうずつく腕が、悶えながら宙を泳いだ。
どうしようかなこれ、ほんとコイツ今すぐどっか連れ込みたいんですけど…!
「…あ、でもやっぱ一応は行くんだ?」
「しょうがねえだろ、一回受けた話なんだから」
「だよなー、でもさァ」
「うるさい、もう黙れ。…どうせお前の事だ、会ったらまた朝までしつこく離れないんだろが」
「えっ?あ、ハイ、もちろんそのつもりですけど」
「だったらたかだか一、二時間位の事でケチケチすんじゃねえよ。明日もあんだろ」
「そっか、それもそうだな!なあんだ、よかったァ」
「――そう。でもね、合コンにはもう行かなくてもいいみたいよ?仲良しのおふたりさん」
突然入ってきた醒めた声に、お花畑になっていた脳内から血がざあっと引いていくのを感じた。
多分瞬時にほぼ同様の状態になったと思わしきサスケと共に、ようやく今自分達を取り巻いている状況に気がつく。
揃ってゆらりと首を巡らせて、息を殺しながらこちらの動向を窺っていた群衆を見渡すと、その中を割るようにしてブーツの踵を鳴らしながら颯爽と近付いてくる、薄紅の頭に気が付いた。
長くなった髪を豊かに揺らし、器用に髪を纏め上げながらこちらにまっすぐ向かってくる翡翠の瞳と、思い切り目が合う。
手早く作り上げたポニーテールを撫で付けながら「うん、これでよし」と小さく呟いて、達観したような顔のサクラちゃんが腰に手をあてた。圧倒されたかのようにまた一歩、観衆が後ろに下がる。
「さっきキバくんとこに連絡がきて、今日来る筈だった女の子がひとりキャンセルになったから、こっちもひとり少ないままでいいって」
「へ?」
「キバくん、早速今夜使えるいいネタが出来たって喜んでたわよ」
「は?」
「……さてと。じゃあ私達もそろそろ行きましょうか、お仕事しに」
――5分。とっくに過ぎちゃったわね?サスケくん。
そう言ってすいっと見上げてきたサクラちゃんにかすかな狼狽を覗かせて、サスケが「あ…ああ、そうだな、すまない」と頷いた。
――ナルトも。気が済んだ?
返す瞳で読めない表情のままこちらも尋ねられて、がくがくとオレは首を縦にする。
「え、えーとな?サクラちゃん。オレってば本当はサクラちゃんにだけは言おうと…」と慌てて言い募ると、はっとしたサスケが「…あっ、この野郎自分だけ…!」と振り返った。
なんだよオレ本当にサクラちゃんには話そうって最初っから言ってたもん、オマエが止めたのが悪いんだろ!?そうやって再びキナ臭くなりかけるオレ達を、スパァン!!!という潔い音が牽制する。
「……任務。行くんでしょう?」
怖いくらい冷静な声と共に、白く細らかな手に嵌められたグローブが、打ち付けられた拳によって高らかに鳴らされた。すっかり静まり返ってしまった待機所の天井に、その音がこだまする。
こわごわ、その華奢で決して大きくはない拳を見る。あれが実戦で炸裂した時の恐ろしさは、オレもサスケも何度も目撃済みだ。骨折位で済めば幸せだろう。治してくれるのも多分彼女だけれども。
「――ふたりとも。今日はたくさん、色んなお話ししましょうね」
まさかとは思うけど、私にまで秘密にしておこうなんて、思っていたわけじゃあないんでしょう?
花のような艶やかさでもって、新三忍の一角を担う名高きくノ一は、震えがくるほどの美しい微笑みを浮かべた。
喉を落ちていく唾液がゴクリと鳴って、それに気が付いたサスケが思い出したかのように息を吸う。
「さあ、早く帰れるよう、さっさとやるわよ」と目を細め歩き出したサクラちゃんの凛々しい横顔を見ていると、オレってばもしも女の子に生まれてたら、サスケじゃなくてサクラちゃんの方に惚れてたのかもしんないななどという馬鹿げた妄想が広がった。
あれ?でもそれもやっぱオカシイのか?なんだろうなオレ、とにかく七班が好きだっていう事なんだろうか。
「…えーと…お気遣い、感謝します」とポツリと呟くと、後ろからばしっと容赦ない力でサスケにまた頭を叩かれた。実際のところ誰よりもオトコマエな細い背中を追っかけて、もつれる足を一歩出す。
(――『今まで通り』ってホント、どんなんだっけか?)
本格的にわからなくなってきて首を捻っているオレの横を、威厳をどうにか取り戻そうとしているらしいサスケが、気まずそうに追い越していった。
【end】
この後サクラちゃんの指揮のもと、素晴らしく早く任務は完了したとの事です。
リクエストで、「ナルトとサスケの恋人関係は周りに絶対内緒とサスケに言われていたけれど、何かのきっかけでナルトが爆発してしまってみんなの前でばれちゃう!みたいなお話」でした。このふたりっておそろしく職場恋愛に向かない子達だと思うんですが、周りも(いやお前らに限って他はねえだろ…)って思ってそうなので、わりと平和に本人たちだけが隠しているつもりの職場恋愛が続いていくような気がします。しかしこの七班はなんだかサクラさんの火影ENDもありそうですね。それもまたよし。二次は楽しいですね。